ラヴェルが創りあげた
フランス・オペラの名作を
演奏会形式で上演!
東京シティ・フィル常任指揮者に就任し、今年で4年目となる高関健が今年度の目玉としてプログラムに取り上げたのは、管弦楽の魔術師と呼ばれるラヴェル作曲の歌劇《スペインの時》。
本作品はラヴェルにとって数少ないオペラ作品の2作のうちの1作ですが、ラヴェルの隠れた名作であり、彼が最も魅了されていた国スペインの風が漂う絶妙なサウンドと彼のユーモアセンスが随所に散りばめられている音楽喜劇(コメディ・ミュージカル)です。
演奏時間は45分と短く、字幕付きで上演するためオペラにあまり馴染みのない方でも楽しめます。豪華な5人の芸達者なソリスト陣たちと高関マエストロによって描き出されるラヴェルの色彩溢れる粋なオーケストレーションでお贈りいたします。この珍しい歌劇に出会えるチャンスをどうぞお見逃しなく!
Storyあらすじ
“スペインの時”とは即ち“スペイン風、愛の時”。
舞台は18世紀スペインの町、トレド。
時計屋の美人女房コンセプシオンは、週に一度亭主のトルケマダが市役所の時計を合わせに行っている隙に浮気を楽しんでいます。今日も恋人ゴンサルヴェが来る前に亭主を追い出したはいいが、店には時計の修理を頼みに来たロバ曳きラミーロが残っていて、邪魔。
そこで女房は力持ちの彼に、2台ある巨大な箱型大時計を2階の寝室に運ばせたり降ろさせたりして、彼が居ない間に恋人に愛の行為を迫りますが、当の恋人は彼女を讃える詩を作るのに夢中で、体に触れてもくれません。焦った女房は恋人を大時計の中に隠してラミーロに寝室に運ばせたものの、一向に事に及ぶ気配もなし。そうこうする内に時間ばかりが過ぎていく。
怒った女房は恋人への面当てに、亭主の留守を狙って口説きにきた銀行家ドン・イニーゴ・ゴメスをもう一つの大時計に押し込んで寝室に運ばせますが、こちらは太鼓腹がつかえて箱から出られない始末。
欲求不満で爆発寸前の女房の目に止まったのが、愚直に大時計を上げたり降ろしたりしていた怪力のラミーロでした。結局浮気のお相手を務めたのはこの朴訥な筋肉マン、ラミーロだったという艶話。
音楽作家 ひのまどか
Correlation diagram相関図
©SAORI OTSUKA
Castキャスト
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©StasLevshin
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指揮 高関 健(常任指揮者)Conductor:Ken Takaseki
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者(2015年4月~)。
桐朋学園大学在学中の1977年にカラヤン指揮者コンクールジャパンで優勝。翌年同大卒業後、ベルリン・フィル・オーケストラ・アカデミーに留学、1985年までヘルベルト・フォン・カラヤンのアシスタントを務めた。
1981年タングルウッド音楽祭でレナード・バーンスタイン、小澤征爾らに指導を受け、同年ベルゲン交響楽団を指揮してヨーロッパ・デビュー。1983年ニコライ・マルコ記念国際指揮者コンクール第2位。1984年ハンス・スワロフスキー国際指揮者コンクール優勝を経て、1985年1月に日本フィル定期演奏会で日本デビュー。大好評を持って迎えられ、1991年NHK交響楽団定期公演でも絶賛を博すなど、その後の活躍の礎とした。国内オーケストラはもとより、ウィーン交響楽団…
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トルケマダ 村上 公太Torquemada:Kota Murakami
東京音楽大学声楽演奏家コース卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。
研修所在籍中より『ドン・ジョヴァンニ』ドン・オッターヴィオ、『こうもり』アルフレード/ブリント、『ラ・ボエーム』ロドルフォなどを演じており、修了後も『ファルスタッフ』バルドルフォ、『外套』ルイージ、『ジャンニ・スキッキ』ゲ…
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©Akira Muto
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コンセプシオン 半田 美和子Concepción:Miwako Handa
桐朋学園大学、同大研究科修了。二期会オペラスタジオ修了時に最優秀賞及び川崎静子賞、第4回藤沢オペラコンクール第1位及び福永賞受賞。その後ベルリンにて研鑽を積む。
『フィガロの結婚』スザンナでデビュー以来、『ファルスタッフ』ナンネッタ、『ラ・ボエーム』ムゼッタ、『ヘンゼルとグレーテル』グレーテ…
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ゴンサルヴェ 樋口 達哉Gonzalve:Tatsuya Higuchi
武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了。
エンリーコ・カルーソー国際声楽コンクール(ミラノ)最優秀賞はじめ、多数の受賞歴を持つ。199 …
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ラミーロ 桝 貴志Ramiro:Takashi Masu
大阪音楽大学卒業。
新国立劇場オペラ研修所修了後、ボローニャ国立音楽院に留学。第25回飯塚新人音楽コンクール第1…
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ドン・イニーゴ・ゴメス 北川 辰彦Don Inigo Gomez:Tatsuhiko Kitagawa
国立音楽大学卒業。
同大学院、及び新国立劇場オペラ研修所修了後、文化庁在外派遣研修員としてイタリアで研鑽を積む…
Columnコラム
- 作曲中のラヴェル
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スペインに魅せられたラヴェル
ラヴェル(1875〜1937)はフランスの作曲家ですが、生まれはフランスとスペインにまたがるバスク地方の漁村シブールで、母親はバスク人、技師の父親はスイス人でした。
生まれてすぐパリに移った彼は完全に“パリっ子”として育ちましたが、生涯故郷を愛し、自分の中に流れるスペインの血を強く意識して《ボレロ》や《スペイン狂詩曲》などスペイン情緒溢れる作品を数多く書きました。同時に子供や妖精の世界を熱烈に愛し、《マ・メール・ロワ》や《ダフニスとクローエ》等の優美で夢幻的な作品も次々に生み出しました。
《スペインの時》には、スペイン色と幻想美が見事に溶け合っています。沢山の時計が時を刻むおとぎ話的な幕開けから、陽気なスペイン舞曲ハバネラで大いに盛り上がる最後まで「音の魔術師」と讃えられたラヴェルの魅惑の響きが耳を酔わせます。演奏会形式なので、皆さまイメージを膨らませながら大人の笑劇をお楽しみ下さい。
- 建設中のエッフェル塔(1888年)
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ラヴェルとオペラ
ラヴェルの青春期19世紀末のパリは「ベル・エポック」と呼ばれた活気と興奮に満ちた時代で、パリ万国博が短期間に2回も開催され、エッフェル塔が建ち、世界中から観光客が押し寄せていました。このお祭り気分の中で人々が求めたのは、愉快で肩のこらない音楽や芝居でした。例えば、パリを席巻したオッフェンバックの陽気で滑稽なオペレッタの数々です。《スペインの時》もこの路線を継いでいます。
ラヴェルがこの1幕オペラを書いたのは32歳の時で、両親や友人たちの愛情に包まれ、名声が高まりつつあった時期でした。その才能に目を留めたのが、パリを本拠地に「ロシア・バレエ団」を率いて熱狂の嵐を巻き起こしていた名興行師ディアギレフです。彼の依頼で書いたバレエ音楽《ダフニスとクロエ》を機に、ラヴェルの関心はバレエ音楽の分野に移っていきます。
その後第一次世界大戦や両親の死などで絶望と孤独を体験したラヴェルが童心に返って49歳で書いたのが、やはり1幕オペラ《子供と魔法》でした。結果的に彼のオペラはこの2作のみとなりました。
音楽作家 ひのまどか
Outline & Ticket公演概要 & チケット情報
歌劇「スペインの時」
(演奏会形式・字幕付)
2018年9月15日(土)
14:00開演(13:15開場)
東京オペラシティ コンサートホール (初台)
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- 出演
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- 指 揮:高関 健(常任指揮者)Ken Takaseki, conductor
- トルケマダ:村上 公太 Kota Murakami,Torquemada
- コンセプシオン:半田 美和子 Miwako Handa,Concepción
- ゴンサルヴェ:樋口 達哉 Tatsuya Higuchi,Gonzalve
- ラミーロ:桝 貴志 Takashi Masu,Ramiro
- ドン・イニーゴ・ゴメス:北川 辰彦 Tatsuhiko Kitagawa,Don Inigo Gomez
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- 曲目
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- モーツァルト:交響曲第39番 変ホ長調 K.543
- W.A.Mozart:Symphony No.39 in E flat major,K.543
- ラヴェル:歌劇「スペインの時」(演奏会形式・字幕付)
- M.Ravel:"L’ Heure Espagnole"Opera in 1 Act⦅Concert style⦆
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- 主催
- 一般財団法人東京シティ・フィル財団
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- 助成
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- 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)
- 公益財団法人アフィニス文化財団
- 公益財団法人朝日新聞文化財団
- 東京シティ・フィルは、1994年から東京シティ・バレエ団と共に東京都江東区と芸術提携を結び、公益財団法人江東区文化コミュニティ財団の協力を得て活動を行っています。「音楽の輪を広げよう!」。東京シティ・フィルは地域のみなさんと一緒に活動します。
チケット料金
席種 | S席 | A席 | B席 | C席 | プラチナS席(60歳以上) | プラチナA席(60歳以上) | U20(小学生~20歳) | U30(21~30歳) |
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価格 | ¥6,300 | ¥5,300 | ¥4,200 | ¥3,200 | ¥4,800 | ¥4,000 | ¥1,000 | ¥2,000 |
- ※S~C席までの席種は全席指定です。
- ※U20・U30の席種は座席指定不可ですのであらかじめご了承ください。
- ※江東区にお住まいの方は、S~C席までの各席種の料金からそれぞれ200円割引となります。
チケット取り扱い
東京シティ・フィル チケットサービス
03-5624-4002
(平日10:00~18:00)
■その他プレイガイドでのお申し込み
- チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード:114-682) - 東京オペラシティ チケットセンター
03-5353-9999 - e+(イープラス)
http://eplus.jp/sys/main.jsp - ティアラこうとう チケットサービス
03-5624-3333 - ローソンチケット
0570-000-407(Lコード:32392)
※プラチナ、江東区民割引は東京シティ・フィルとティアラこうとうのみでお取り扱い。
U20、U30は東京シティ・フィルのみでお取り扱い。
お問い合わせ
東京シティ・フィル チケットサービス
03-5624-4002(平日10:00~18:00 ※土日祝休み)
- ※やむを得ない事情により、出演者、曲目等が変更になる場合がございます。
- ※一度お求めになられたチケットは公演中止の場合以外、一切キャンセルはできませんのでご了承ください。なお、チケットの再発行もいたしませんのでご注意ください。
- ※未就学児のお子様のご入場、同伴はご遠慮ください。下記託児サービスをご利用ください。
イベント託児・マザーズ
(有料・公演1週間前までに要予約)
0120-788-222
東京オペラシティ コンサートホール
〒163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2
TEL.03-5353-0788
アクセス
●京王新線(都営地下鉄新宿線相互乗入れ)
初台駅東口
●小田急線 参宮橋駅
徒歩約14分
●都営地下鉄大江戸線 西新宿五丁目駅A2出口
徒歩約17分
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●渋谷駅西口よりバス
約20分
京王バス〈渋64〉:東京オペラシティ南または東京オペラシティ下車
京王バス〈渋61〉〈渋63〉〈渋66〉/都営バス〈渋66〉:東京オペラシティ南下車
お車
山手通り・甲州街道交差点角